« 支援物資の品目追加について | トップページ | 政治の怠慢でお茶を殺すのか(その2) »

2011年6月 2日 (木)

政治の怠慢でお茶を殺すのか(その1)

いま、民主党政権の無責任体質によって、日本の「お茶」が壊滅の危機に瀕しています。

ことの発端は5月11日、神奈川県の足柄茶から暫定規制値(500ベクレル/㎏)を超えるセシウムが検出されたことでした。その後、各産地でも放射性物質の検査をしたところ、一部の産地で規制値を超えるセシウムが検出されたものの、静岡、埼玉などの主要な産地では規制値を下回るセシウムしか検出されませんでした。各県も安全宣言を出し、関係者も一安心をしていたのです。

しかし話はこれで終わりませんでした。

現在、食品の放射線量を規制しているのは、原子力災害対策特別措置法・食品衛生法に基づく「暫定規制値」というものです。「暫定」というだけあって、当座しのぎの、極めて大雑把な仕組みになっています。

どう大雑把かといえば、放射性セシウムの規制については、「飲料水」「牛乳・乳製品」「野菜類」「穀類」「肉・卵・魚・その他」の5分類しかなく、前二者が200bq/kg、後三者が500bq/kgという大雑把さです。

それではお茶はどこに入るのでしょうか?

お茶は、畑から摘んだ状態のものを「生葉」と呼び、この「生葉」を乾燥させたものを「荒茶」と呼びます。乾燥させることで水分が減り、重量は生葉の5分の1ほどになります。我々は、それを最終製品に仕上げ、煎じ出した抽出液を「飲用茶」として口にします。

本来、「飲用茶」が口に入るのですから、この段階で、飲料水や牛乳と同じ200bq/kgで管理すべきものです。しかし大雑把な暫定規制の下では、お茶という製品を想定していないため、元来同一物である「生葉」「荒茶」「飲用茶」が、別物としてばらばらに扱われます。

当初足柄茶などで問題となったのは、「生葉」の部分でした。これは、肉や魚と一緒の「その他」品目に分類されます。規制値は500bq/kgです。

ところが、ここで厚生労働省が「荒茶」も「その他」に分類されるので、500bq/kgで規制するべきだ、と言い始めました。

仮に100bq/kg強で規制をクリアした「生葉」があるとしましょう。この茶葉は、規制値を大幅に下回るセシウムしか含まない、安全な茶葉ということになります。この安全な茶葉を「荒茶」の段階で検査するとどうなるでしょうか?

放射性物質は「キログラム」当たりの規制になっています。「荒茶」は乾燥して重量が5分の1になっているので、同じ重量で測るためには、5倍の茶葉をかき集めて測らなければなりません。当然、5倍の茶葉に含まれる放射性物質も5倍=500bq強になります。

すなわち、同じ制度の中で、一度は「安全!」とされたものが、一転、規制値を超えてしまうのです。

更に、この茶葉から抽出された抽出液には、規制値からほど遠い微量のセシウムしか含まれません。実例を挙げれば、静岡県菊川市の「生葉」のセシウム濃度は111bq/kgでしたが、その抽出液はわずか4bq/kg、御殿場市は101bq/kgに対し6bq/kg、富士宮市は105bq/kgに対し6bq/kgです。これは、飲用水の暫定基準値である「200bq/kg」の50分の1~30分の1に過ぎません。

これは、制度の不備によって生じた矛盾にほかなりません。一度出荷停止となれば、お茶は壊滅的な被害を受けてしまいます。制度の不備によって、お茶が壊滅するようなことがあっては絶対にいけない!と、関係者が声を上げ始めたのが5月15日のことでした。

(その2に続く)

|

« 支援物資の品目追加について | トップページ | 政治の怠慢でお茶を殺すのか(その2) »